陰ヨガの養成コースを世界中で教えている
David Kim先生のSpecial Interview
現在ロサンゼルスを拠点に、世界中で陰ヨガとヴィンヤサのトレーニングコースを指導しているDavid先生。
2020年5月の陰ヨガトレーニングコース開催に先駆けて、陰ヨガその世界観、先生自身の人生に対する考え方をお聞きしました。
Q.1 ご自身の紹介をお願いします。
デイビッド・キムと申します。カリフォルニア州ロサンゼルスに拠点を置くアメリカ人ヨガ講師です。15年間、ヨガを教えています。私の両親は1950年代に韓国からアメリカに移住しました。ミシガン州で育ち、イーストコーストにあるブラウン大学を卒業しました。卒業後はニューヨークにてヴィレッジボイスという新聞の記者をしていました。その後、ロサンゼルスにて、ユニバーサルピクチャーの脚本アナリシストになりました。この仕事をしているとき、ヨガワークスでヨガ講師養成のトレーニングを初めて受けました。それから、インドのアイアンガー師の家族や陰ヨガの創始者の1人であるポール・グリリー師を初めとするたくさんの経験豊富な先生の元で、ヨガを学び続けました。結果的にヨガをフルタイムで教えることに決め、現在ではヨガワークスのヴィンヤサスタイルとヨガワイズの陰ヨガのティーチャートレーニングを世界中で指導しています。
Q.2ヨガとは何?という質問に対する先生のご意見をお聞かせください。
ヨガは、常に動き続けるエゴを落ち着かせる方法を私たちに教えてくれる哲学であり、科学であり練習です。
アーサナ(ポーズ)は私たちを強く柔軟にしてくれます。しかし、献身的にヨガに取り組むことで得られる、さらに大切な効果は、ヨガが私たちにマインドフルで上手な人生の過ごし方や人間関係の築き方を導く重要なツールを与えてくれるということだと思います。
Q.3陰ヨガの始まりを教えて下さい。
陰ヨガは20年以上前に、ポール・グリリーとサラ・パワーズという2人のアメリカ人講師によって創られ、広められました。ポールとサラは、元々カリフォルニア州のサンタモニカにあるヨガワークスのスタジオで「陽」スタイルのヨガ(ヴィンヤサとアシュタンガ)を教えていました。その後、少しずつ瞑想的でスローな「陰」スタイルのヨガに移行していきました。
Q.4なぜヨガ講師になろうと思ったのですか?
心の動きを観察すること。そして、沢山の必要ない心の動きがあり、それが自分の身体と人間関係の障害になっているということに気づくとこ。ヨガはそのことを知るという鍛錬を私に初めて教えてくれました。シンプルに呼吸を意識することやマインドフルにポーズを取ることで、今という瞬間に自分を繋げることができる毎日のヨガの練習が大好きになりました。さらにヨガを通して、同じことに興味のある人々に出会うこともできました。ヨガは私に全ての領域において、つながりを感じることを教えてくれました。そして、その経験を他の人とも共有したいという想いに駆られたからです。
Q.5陰ヨガの実践や勉強は日常生活にどのように役立ちますか?
陰ヨガの効果は実に多様です。身体的な面では、陰ヨガの練習で関節組織にやさしい圧を加えることで、関節の柔軟性と弾力と強さを守る働きかけをすることが出来ます。さらに深いレベルで言えば、陰ヨガは私たちを瞑想へと導いてくれます。常に働き、葛藤し続けるエゴからの欲求で自分自身を定義することを抑える手助けになります。陰ヨガの効果は、マットの上の練習だけに留まらず、エゴからもたらされる感情的なストレスを減らし、神経のバランスを整えることで、免疫力を高め、健康的な感覚を私たちに与えてくれます。
Q.6健康で、幸せで、意欲的でいる為に多くの人が必要なことは何ですか?
「幸せ」とは、私たちがコントロールできないところで、来ては去っていく感情の一つです。それに対しては、「満足すること」がより力強い人生への向き合い方だと思います。「満足すること(常に満足した状態でいること)」は、感情的な浮き沈みが一時的であり、それらは自分自身を定義するものではないことを私たちに教えてくれます。「満足すること」は人生を穏やかにして、物質的な欲求を静め、親しい人々と自分の人生に、より深いつながりを見つけるための手助けとなります。
Q.7日本で指導された経験について教えて下さい。
日本での指導はとても楽しいです。生徒さんは学びのプロセスをとても尊重してくれて、熱心に学んで下さるからです。アメリカ人として1つ言えることは、アメリカ人講師は一般的に生徒さんとの質疑応答や会話から生まれるコミュニケーションがクラスには当たり前にあるものと想定しています。でも文化の違いから、私が質問や意見を述べて下さいとお願いしない限り、日本ではあまり講義中に生徒さんが自ら発言をすることは少ないと思います。そのことを踏まえて、アメリカンスタイルと日本のスタイルの良い所を合わせたクラスができるように努めています。クラスの調和を重んじてマインドフルでいることと、質疑応答と深いディスカッションも行えるようにするということです。
Q.8 趣味は何ですか?
大学で美術と建築の勉強をしていたので、仕事で海外に行ったら、その土地の美術館や有名な建造物を見に行くのが大好きです。特に繊細で緻密な日本の近代建築は素晴らしいと思っていますし、とても高い質の物を作る職人の文化にも、非常に興味があります。もう一つの趣味はサーフィンです。ヨガのトレーニング指導で訪れる国の先々で、指導終了後、サーフィンをする時間を取ったりしています。日本でサーフィンをしたことはまだありませんが、サーフィンの文化が日本のファッションやライフスタイルのブランドに影響を与えているのを見て、楽しいなと思っています。
Q.9 ヨガは楽しいですか?
ヨガは確実に楽しい経験になるでしょう。特にヨガを通して、新たなコミュニティーとの出会いを楽しむことが出来れば尚更です。さらに、ヨガは私たちの体の素晴らしい回復力に対する好奇心とそれを尊敬する心を開花させて、精神的な器としての身体の可能性を理解するための手助けをしてくれます。結果的にヨガは私たちに人生の全体像~喜びから悲しみ、恐れ、憂鬱、そして深い満足感まで~を捉えさせてくれます。そして私たちに「私たちは完全な存在」であることを改めて気づかさせてくれます。
David先生ありがとうございました。
David Kim
デイビッド・キム (E-RYT500認定)はヨガワークスとヨガワイズの陰ヨガトレーニングを世界中で教えているヨガワークスのシニアティーチャートレーナーです。米国のブラウン大学を卒業し、ジャーナリストだった経歴を持つデイビッドは、現在、陰ヨガとヴィンヤサスタイルのヨガを中心に指導している。デイビッドの陰ヨガのスタイルは、師であり、陰ヨガの創始者であるポールとスージー・グリリーの教えが大きく影響している。ヴィンヤサは、2005年にアシュタンガヨガの創始者パタビジョイス師に、2007年にアイアンガー師の家族に学び、他にもこの2つのスタイルのシニア指導者達から学んできた。継続的な解剖学の学びをベースにした彼のクラスは、思いやりに溢れながらも、受ける者へ常に挑戦を与える。そして、それらのクラスには、彼自身の瞑想の練習から生まれる創造的なシークエンスや、的確な誘導、マインドフルなアプローチが散りばめられている。デビッドは、生徒や愛する人達に彼の教えを日々捧げ続けている。
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